ボルネオ植林報告(5)

by チャーリー岸田

その5「海老」

 昼間の過酷な仕事が終われば、一旦ホテルに帰ってそれから町に繰り出す。
 晩御飯はもちろんオープンレストラン。東南アジアの基本である。現地の人々はエアコンの効いた店を好むようだが、実は半分路上にはみ出したような、こんな店の方が美味いのだ。
 添付の写真は、地元コタ・キナバルで獲れた大海老。南国にはこんなに豊かな食材が溢れているのだ。

海老

 たしかに名古屋の下ちゃんの結婚式に出て来た大海老に比べれば少々小さい(注1)。しかし味は抜群に美味いのだ。身体はでかくても全然大味ではないのだ。
 マレーシアのオープンレストランには、このような豊富な食材が溢れている。おまけにこの店の魚介類は、全てばかでかい水槽(添付の写真)で生きたまま準備されているのだ。

水槽

 身体を動かせば腹も減る。我々は運動部の学生のように食って飲みまくった。とにかく美味い。もちろん、激しく身体を動かした後は何を食べても美味いだろう。しかし、この美味さの要因はそれだけではない。新鮮な食材が有ってこその幸福なのだ。
 そして、散々食って飲んで、料金は1人あたり \1,500。
 この値段を聞いて、JUSTのメンバーは、こう思ったかも知れない。

「えっ? それは高いではないか! 『1テーブルあたり\1,500』の間違いではないのか?」

 たしかに、日本に比べれば値段は安い。しかし、タイランドをその行動圏に置く我々TeamJustにとっては、タイランドの物価に比べて少々の割高感を覚えるだろう。
 マレーシアは豊かな国である。マハティール前首相の産業育成策が成功し、半導体の生産量においては、世界のトップクラスの位置にある。
 そのため東南アジアとしては比較的物価が高く、消費者物価指数はフィリピンの2倍と言われている。つまりタイランドに比べれば数倍の値段だ。
 しかし、ジャパン・マネーを持った我々から見れば、それでも十分許容範囲と言える。
 治安も良く、小奇麗で整然とした町並は、猥雑と混沌の東南アジア諸国を見慣れた我々には、少々インパクトが足りないかも知れない。しかし、女性だけでも安心して夜道を歩けるマレーシアの環境は、東南アジア初心者や、あまり強烈な刺激を求めている訳ではない一般の旅行者には最適な環境と言えるだろう。

 その後マメな仲間がメニューの内容を分析した結果、\1,500の内訳が殆どビール代であることが判明した。マレーシアはイスラム圏なので酒造メーカーが無く、我々外国人しか飲まないビールは全て輸入物なのだ。アルコールに対する関税も高いらしい。我々は、昼間の植林活動時で掻いた大汗の反動で大量のビールを飲み続けたために、1人あたり\1,500もの大金を使ってしまったのだった。普通の旅行者であれば、1食に\1,000も使う人は居ないらしい。

つづく

<注1>名古屋の大海老

 名古屋では海老は縁起物である。結婚式のようなハレの場では、味はともかく海老の大きさで勝負が決まる。そのため名古屋の結婚式では、世界中から取り寄せた、とにかく大きな海老が並ぶことになる。
 JUSTメンバーの下村君の結婚式では、このマレーシアの大海老よりもでかい海老が出て来たのだ!
 しかしこれは、北アフリカの泥の川で獲れたもの。大きさでは世界一だが、味は、そのままでは食えたものではない。泥臭いのだ。
 そのため名古屋の結婚式に出て来る北アフリカ産の大海老は、皆、八丁味噌でコテコテ名古屋風に味付けが成されている。


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