CAD談義
by チャーリー岸田 & ショーケン
岸田氏宛に送ったMAILが他の人に送られてしまいました。原因は通信エラーのようです。その事で、ちょっとした騒動が起きましたが、何とか収まったようです。
[岸田]
インターネットは不安定な通信手段なので、何が起きても不思議はありません。今回みたいな事は滅多に発生しないことなので、今後も気を付ける必要はありません。例の人はIDが岸田と1番違いなので、1ビットの文字化けで誤送されてしまったのでしょう。
しかし、気を付けることは、インターネットシステムの通信プロトコルが画期的に進化しない限り、(つまり今までとは違う手段で通信するようにならない限り)インターネットを通じて金銭のやり取り(クレジットカード番号を送るなど)をしてはいけません。世界中で事故や犯罪が発生しています。
[萩原]
なるほど。理解は出来ますが・・・。
今回の騒ぎは結構、疲れました。メールってバンバン送っていますからね。
しかし、一般的に周りの人のE-MAILに対する知識は脆弱です。
昨日も外注先にCADのデータを送るのに圧縮しないで送った人がいました。受ける人はダウンロードに30分もかかったと言う話。外注の人は個人でやっているので、これじゃ気の毒って気がします。
と言うわけで、これからの世の中、PCの知識がないと食っていけない気がしますねえ。
ですから、萩原も「よおし!パソコンを勉強するなら、自分で作るのが一番だ」と自作の本を買ってきて、通勤電車で読んでいます。しかし、これって完全に趣味の世界。ハマってしまうとやばそう。これ以上趣味を増やすと時間的にも金銭的にも苦しいので、老後の楽しみにとっておくか。
[岸田]
「これからの世の中、PCの知識がないと食っていけない。」ってのは本末転倒な話で、『パソコンが使えない』ってのは、使う人ではなくてパソコンが悪いのです。パソコンの方が、誰でも簡単に使えるようにならなければいけない訳で、車にしろカメラにしろ、昔は専門的な知識のある人でなければ使えなかったのが、最近では誰でも使えるようになっています。パソコンもそうならなければいけないのです。
最近のお客の要望もそうなって来て、「使い方が解らん。」と言ってはSEが怒られているんですよ。
しかし、そんなことは○イクロソフトに言ってくれえ!
[萩原]
それは一般ユーザーのレベルの話で、我々エンジニアはそんな甘ちゃんな考えでは職を失います。一般の人が苦しむ環境があるから、我々が専門家として金を取れるのでは?
私のような設計屋の世界では、すでにCADが必須アイテムなので、パソコンの知識も必要です。おじさんは「どうもパソコンは苦手でねえ」で済むかもしれないけど、私くらいの、主力になりつつある世代は、「これはこうですよ。簡単です」なんて余裕を見せないと「コイツは頼りになる」とは思ってもらえないのです。
しかしですねえ。○イクロソフトも頑張っています。みんな悪口言うけど。欠陥があると言ってもね昔のMS-DOSに比べたら、今の機械なんて子供のおもちゃみたいなもんですよ。
[岸田]
「それは一般ユーザーのレベルの話で、我々エンジニアはそんな甘ちゃんな考えでは職を失います。」ってか?
しかし、ショーケンの場合は機械の設計をするエンジニアであるわけだから、パソコンは仕事上の道具。もちろん、プロフェッショナルが道具を使いこなせるようにならなければいけないのは当然ですが、たとえば「今使っているコンピュータに新しいプリンタを接続する。」とか、そういったことがもっと簡単にできるようになれば、本業の方の能率も上がるわけです。道具の仕組みを覚えることに時間を割いてばかりはいられません。
たとえば、大工さんはカンナやノミの使い方に習熟し、手入れができなければいけませんが、その道具を作るのは道具屋の職人です。
そこで、その「コンピュータを使いやすくする。」と言う仕事はコンピュータ屋さんの仕事であって、そのコンピュータ屋さんの仕事はまだまだ進化の余地があると思います。昔に比べれば使いやすくなって来たとは言え、現在のコンピュータは、まだまだユーザにとって面倒な機械であると思います。
岸田の友人に数人の建築士がいるのですが、彼らから聞いた話。
大手のゼネコンに勤める建築士の話では、まだ、ドラフターを使って設計している人も居る。とのこと。
小さい設計事務所に勤めている建築士は、これを聞いてビックリ。「そんなもの使っていて、仕事になるのかよ?」
大企業は余裕があるので、現在では必要なくなった技術でも、その技術を保存しておくことを考えているのでしょう。
時計のセイコー社では、未だに自動巻の腕時計を作っています。
数年前、国産の腕時計は全てクォーツになってしまったのですが、セイコー社の幹部が、あるとき「機械式時計の技術も、またどこかで必要になる時が来るかも知れない。」と考え、その技術が無くならないように、自動巻を復活させたそうです。
技術屋さんとしては嬉しい話です。
[萩原]
うちでも、そう言う人はたくさんいますよ。オッサン連中は「CADをおぼえるよりドラフターで描いたほうが早い」、と言っている間にCAD化についていけなくなった、というわけです。
技術の保存というより、その人達の場合はドラフターで描いても仕事になる、という事です。手書きでも優秀な人は早く描けるんですよ。が、CADに慣れてしまった人から見ると、とてもドラフターなんて使えません。
先月は、私は別の部署に応援に行っていましたが、全ての図面を外注に描かせたのでCADのデータがなく、1ヶ月以上ドラフターで仕事していました。はっきり言って、CADの3倍の時間がかかった。今は完全にCAD化された元の部署に戻ったので、一安心。私の場合、工業高専で5年間みっちり製図を仕込まれたので、ドラフターでもそこそこ描けますが、慣れていない人だったら絶対に無理でしょう。
[岸田]
岸田はばんばんの文系で、製図なんて一度もやったことがないのですが、「ドラフターで描いても仕事になる。」ってのは、下記のように考えて良いのでしょうか?
ドラフターよりもCADの方が有利な点は、修正/やり直しが簡単にできるところである。
つまり、CADを使えば、同じ時間で何度もトライ&エラーができる。
CADを使わずに、ドラフターで製図する場合には、やり直しが面倒な分だけ、描く前に、頭の中で出来上がりを明確にイメージできなくてはならない。
ドラフターで描いても仕事になる。って人にはそれができる。
ただ単に、「描くのが早い」ってだけの話であれば、絶対に機械を使った方が早いに決まっているので、ドラフターでCADに対抗できる人は、図面を仕上げて行く手法が基本的に違う。職人技を持っている。
〜と考えても良いですか?
ヨットの話題から大きく逸れてしまったけど、違う業界の人を話すのは勉強になるぞ。
[萩原]
だいたいその通りです。細かく言うと、CADを使う大きな利点は
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寸法的に正確に描ける。機械設計なんてミリ単位で設計するわけですが、紙に描いた図にその精度を期待出来ないけど、CADなら正確に描ける。
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やり直しがきく。「あ、しまった」という時、処理の取り消しが出来る。人生も同じように出来ないものか。それから、CADでは、描いた図を消すのも一瞬だけど、手書きなら消しゴムで消さないといけないので、意外に面倒です。
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レイアウト、縮尺などが後で自由に変えられる。手書きって、これが困るのですよ。描いた絵が図枠に入らなくて、描いた図面を切り取って、違う紙に貼ったことが何度もあります。ドラフターで仕事する人は、レイアウトを充分に考えてから図面を描き始めると思うのですが、CADの場合、「まず描く」→「描いた後で図枠に入れる。レイアウトもその時変更できる」と手順が逆になります。
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あとは、決まった部品(ネジ、ボルト、ナット等)はいちいち描かなくてもCADなら登録されているし、昔の図面データも流用して切ったりくっ付けたり出来るという利点もあります。
結局、手書きで仕事している人もCADの便利さを認めていると思うのですが、「最初からおぼえるくらいなら、その間に手で描いた方が早い」という人が大半なのでしょう。慣れない人無理にCADを使えってのも酷な話かもしれません。それに、設計ってセンスが全てですからね、出来る人は道具を選ばないってことでしょうか。
それから、建築関係の人は芸術色が濃いので、手書きの方が良いって人もいるかもしれません。建築の人はMac系のCADを使っている人が多いようです。
[岸田]
う〜む。CADの話は勉強になりました。
しかし、コンピューターが世の中に蔓延すると、エンドユーザからはブラックボックス化してしまいます。
岸田もホストをやっていた頃は、OSやハードウェアの仕組みから理解していたのですが、たとえばWindowsなどは、中身の仕組みが解っているのは○イクロソフト社だけ。使い方と適用方法だけ知って仕事しているわけであり、それでも問題ないはずなのですが、何か釈然としないものが残ります。
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