ハワイで結婚しなさい

by ショーケン

 1996年、5月某日のお話。

 蒲郡の小料理屋で、恒例のエリカ前夜飲み会が行われていた。この年のJUSTチームは、艇を関東に置きっぱなしにしており、エリカカップは出られないのだが、例によって大勢の人が飲み会に参加していた。艇を関東に置いているのは、8月のKENWOOD CUPに艇を持っていくため、船積みを待っているのだ。当然、この飲み会での話題の中心は夏のKENWOOD CUP一色である。

 この飲み会では、俺はオーナーの向かいで飲んでいた。何かの会話の後、オーナーが俺に話し掛けた

「ところで、萩原君はよく滝ちゃんと一緒にうちに来てるようですが、付き合っているのですか?」
「はい」
「そうですか。結婚も考えているのですか?」
「はあ・・・、まあ、うまくいけば来年くらいに・・・」
「ハワイで結婚したらどうですか?」
「はあ?」
「せっかくみんなでハワイに行くのだから、そこで結婚式をしたら良いじゃないですか」
「!!・・そんなの無理ですよ!」

その話を聞いて、横から柴木氏が話に入ってきた

「ショーケン。滝ちゃんだって休み取るのに苦労してるだろ。新婚旅行だったら、休み取りやすいんじゃないか?」
「何言っているんですか!そうかもしれませんけど、それとこれとは話が違います!」
「ハワイにこれだけの人が集まるんだぞ。こんなチャンスは滅多にないぞ」
「そうですけど、もう6月ですよ!あと2ヶ月で準備するのは無理です!」
「いやいや、こういうのは勢いが必要なんだ。来年なんて言っていると駄目になるって。いいから、ハワイで結婚しろって」
普段はおとなしい柴木氏だが、どう言うわけか、この話題に関しては異常にテンションが高い。周りの人間も圧倒される勢いである。段々、俺もその勢いに圧されてきた。

「僕はいいかもしれませんが、あの子がどういうかわかりませんよ!」
「それだったら、今すぐ電話しろ!」
柴木氏は携帯電話を俺に差し出した。仕方ないなあ。
しかし、電話をすると本人は会社の人と釣りに行っており、まだ帰っていないという。
仕方ないので、お母さんに今までの話を説明した。
「と言うわけなんですよ。やっぱり駄目ですよね?」
「あらっ!いいじゃない。私もハワイへ行きたいわ♪」
「・・・・・」

電話を切ってオーナー、柴木氏に説明する

「と言っていました」
「おお、じゃあ決まりじゃねーか!」
「いや、だから、本人が・・」
「いいから、いいから。今度はおまえの親に電話しろ」
「だ、駄目ですよ!まず本人に・・」
「いいから、おまえの親にも聞いてみろ!」

うちの親が「そりゃ時期尚早だ」なんて言うわけないだろう。結果は見えているようだが、電話してみる。俺の母親が出た。

「〜というわけやねん。あかんよな?」
「いっや〜〜!、それ、メチャメチャええ話やん。みんなでハワイ行くわ♪」
「いや、そやから、まだ決まってへんねんて」
「ほな、はよ決めなさい」
「・・・もうええわ!」
てな具合である。誰も俺と滝ちゃんの都合なんて考えてくれない。自分達が盛り上がれたり、ハワイに行ける口実になれば良いらしい。
電話を切って、オーナー、柴木氏に説明した。

「じゃあ、決まりだな」
「ちょっと待って下さい!オーナー、何とか言って下さい!」
「はっはっはっは。じゃあ、2次会で萩原君のお祝いをしましょう」
「だ、だから、まだ滝ちゃんが・・」
「よーっし!みんな、萩原と滝ちゃんがハワイで結婚することに決まったぞ!2次会でお祝いだ!」
「本当か?」
「そりゃいいな」
「よし2次会行くぞ!」
「ちょっと待って下さいよ〜!!」

〜というわけで、本当に2ヶ月後、ハワイで挙式を行ってしまった。
全然関係ない話だけど、俺はこの宴会の2次会で女装させられた。(本当に関係ない)

今年(2001年)8月12日で結婚5周年です。1/20世紀が過ぎました。お蔭様で、何とかなっています。オーナー、柴木さん、どうもありがとう??

飲み会で重要な事をノリだけで決めてしまうJUSTチーム。
案外、その方がうまく行くのかもしれない。

それにしても、子供達が大きくなって、こんな文章読んだら、どう思うだろう?

Seaside Cafeのトップへ戻る
HOME