エンジニア達の会話by チャーリー岸田&ショーケン
ヨット用の交換部品の入手についての話をしています。 (内容の信憑性については責任もちません) [萩原] そのステンレスの部品ですが、大きなホームセンターなら置いているかもしれないので、今度探してみます。 無い場合、どこかのネジ屋に注文して取り寄せます。 [岸田]
こう言う話はショーケンの方が専門なのでしょうが、ステンレスには色々種類があるようですよ。 「これって鉄じゃねえの?」・・・と、思ったのですが、業者の話によると、 「船具で使っているステンレスは一番錆び難い種類のもので、一般にホームセンターではそのようなタイプのステンレス製部品は売っていない。」・・・との話でした。 [萩原]
そうなのです。色々あるのですよ。 ステンレス鋼は、材料そのものが防錆性を持っているのではなく、表面に作られる膜のような物が酸素との結合を防ぎ、錆を防止します。ですから、傷などでこの膜が剥がされると、錆が発生します。 また、ステンレスは一般の鉄鋼材料に比べて、強度が落ちますので、使う箇所の機械的強度を考慮する必要があります。元々ステンレスボルトを使っているところなら問題ないでしょうが、高張力ボルト(引っ張り力が強い)を使っている箇所をステンレスに置き換えると、強度が不足します。 ステンレスだけの特性ではないのですが、「応力腐食」という現象がありまして、力がかかった状態の金属材料は、腐食を受けやすいのです。フォアステーが切れたりするのは、応力腐食による亀裂進展による破壊が起こっているのです。 [岸田]
ええ〜っ? 「表面に作られる膜のような物が・・」とは知らなかった。
メッキと決定的に違うのは、金属が外気の影響で膜のようなものを生成することです。 強度についてですが、ステンレスの種類によりますけど、一般的に使われるもの(オーステナイト系)は強度が低いです。熱処理などにより、強度を増したマルテンサイト系と呼ばれるステンレス鋼もあります。これは、例えば、船舶のシャフトなどに使われますが、硬くてもろい、という特性を持っています。 [岸田]
それでは、ステンレスを溶接した場合にはどうなるのだ? なかなか鋭いですねー。
詳しくはわかりませんが、熱処理で何とかします。
このあたりの話は非常に難しい話で、学生の頃に習った時はチンプンカンプンでした。 ふーむ。
それではメッキのように剥げる心配は少ない訳ですね。 ところで、最近の拳銃には銀色にピカピカ光るステンレス製のものが多いのだけど、鉄よりステンレスの方が弱いのなら、弾丸を撃ったら割れてしまう可能性があるではないか? もちろん、製品化されているのだから必要な強度は備えているのだろうけど、単なる鉄の銃の方がより安全確実だと言う訳だな。 [萩原]
銃身までステンレスじゃないでしょう?
銃については、全く知識がありませんが、それ相当の材料が決まっていると思います。 映画で出てくる殺し屋は、マメに銃の手入れをやっていますが、やはり、そういうことをやらないとダメになってしまうと思います。 [岸田]
なるほど。そうなのですか。
近年、金属だけでなく石油を原料とした素材にも大きな進化があるようですね。
そこで岸田は思ったのですが、この素材が実用化されたら、たとえば下記のような使用法が可能になる訳ですね。 「携帯電話やモバイルパソコンなどの筐体外側に、このゴムを貼り付ける。するとこの電子機器は、少々乱暴に扱っても壊れない。」厚さ10mmのゴムでビルの4階からの衝撃を受け止められるのですから、携帯電話の筐体を1〜2mmの厚さのゴムで包めば、1mくらいの高さから落としても何とも無いのではないかと思われます。 そうなったら色々便利ですね。 [萩原]
確かにそうですが、モバイル機や携帯電話の場合、放熱の問題が出てきます。 メーカーにしてみれば、携帯電話やパソコンは、どんどん消費して、新しい物を買ってもらわないといけないので、そういう方面の技術が開発されるのは、ずっと先のことになると思います。恐らく、トレンドにならないでしょう。 きっと自動車や航空機と言った、安全性が必要な分野での応用(例えば、バンパーを高衝撃吸収性素材にする、など)がメインになるでしょう。携帯電話などは、まだまだ機能やコンテンツの充実という方面に発展していき、サイクルも短くなると思います。 [岸田]今は何でもこの調子になって来ましたね。 「道具は高価でも質の良いものを大切に長く使う。」・・・と言う美徳が通用しない世の中になって来て居ますね。 しかし、最近では消耗品であるパソコンが、格好良く見せて付加価値を高めるためにチタンの筐体に入っていたりします。 「特殊ゴム筐体で落としても割れない! 象が踏んでも壊れないパソコン登場!」なんてことになったら嬉しいな。 |