遥かなるコラート(6)

by チャーリー岸田

その6 空港

 そして我々はバスでバンコクの空港に向った。このまま深夜の便で発ち、明日の早朝には日本だ。短い旅であった。

 この写真は、空港の食堂。

空港の食堂

 プーケットへの行き帰りにバンコクでトランジットした経験のある皆さんにも、この食堂は見覚えないでしょう。これはトランジットの場合、一旦出国しなければ行けないエリアにあるのです。国内線発着ロビーの奥の非常に判り難い場所にあります。ピカピカの空港内にしては妙に殺風景ですが、実はここは空港内で働く人々の社員食堂として利用されている場所なのです。もちろん一般客の利用もOKです。

 システムはコラートのショッピングセンターと同じ。室内に10数ヶ所の店があり、客は好みの店の料理を買って中央のテーブルで食べる仕組みになっています。

 トランジットエリアにある食堂が、一食400バーツも掛かるのに比べて、この食堂では一食が20〜30バーツ程度。安くても不味い訳ではありません。どれも皆、しっかりと手間隙を掛けて作られた料理です。

 タイではシンプルな競争原理が働いているのです。複数の店が競合することによって、値段と質が確保されているのです。
 例えば、日本ではどの店で買っても全く同じ値段の煙草。これがタイでは店によって値段が違います。売っている店のロケーションや利便性によって市場価格が形成されている訳です。

 今ここで買えば60バーツの煙草が、数十メートル歩けば55バーツで売っています。客もそれを知りながら、歩いて買いに行くのが面倒なときは5バーツ高くても近くで買い、お金が勿体ないと思えば遠くまで歩いて行くのです。市場経済の基本ではありませんか。

 日本では最近になって、「規制緩和」などと言い出しており、それもなかなか進まない現状ですが、タイでは最初から規制も何もないので、健全でシンプルな市場原理が働いているのです。

 岸田がこの国に惹かれるのは、そう言った市場のシンプルさにもあります。気候が良くて人々がフレンドリーな面だけではありません。

 この国はこれからもっと伸びて行くと思っています。いいぞタイは。

おわり

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