エリカカップ運営レポート
byチャーリー岸田
2000年5月28日、三河湾は蒲郡沖において、出艇数では日本最大のヨットレース、第14回「エリカカップ」が開催された。
Justは現在船がないので今年のレースには参加できないのだが、今回はメンバーが大挙してレース運営に参加。このような自己犠牲的精神が日本のヨット界を支えているのだ。
実は何を隠そう、Justはこのレースで過去最多優勝回数を誇る強豪チームなのだ。
このようなベテラン強豪チームが大勢して運営に参加すると言うことで、さぞやレース運営役員も心強く思っていることだろう。
Just「Justチーム7名。応援に来ました!」
役員「う〜む・・・・・・」
何故か運営役員は困惑の表情。
Just「我々に運営ボート1艇任せて下さい。もうバッチリっすよ!」
役員「いや、それは・・・・・・」
なぜか歯切れが悪い。
役員「ところでそちらは何名ですか?」
Just「オーナーも入れて7名!」
役員「おっと、オーナーも乗られるのですか。それなら安心だ。」
オーナー「わっはっは。」
この運営役員は大きな勘違いをしていた。さすがにオーナーが居れば、この連中もあまり馬鹿なことは出来ないと読んでいるのだ。 ところが実は、Justのオーナーはクルーの乱行・泥酔・セクハラには、異常なほどに寛大なのだ。
我々Justチームは「第2マークのマークボート」を乗っ取ることに成功した。
マークボートはチャーターした地元の漁船、この漁船の船頭さんは、
「ヨットレースの運営は、30年前からやってる。」
とのこと、我々よりもベテランだ。
我々がほとんど指示を出さなくても、船頭さんが一人でテキパキとマーク設置を終わらせてしまった。後はあまりやることがない。暇だ。
天候は快晴微風。レース艇には少々物足りない風だが、アンカリングした運営ボートの上は絶好のコンディションだ。
ふと見ると、何かの手違いで、GPSやコンパス、無線などのレース運営機材の中に、
「飲みきれないほどの大量のビール。」
が紛れ込んでいる。メンバーの誰かが間違って? 積み込んでしまったらしい。
それでは仕方が無い。そのまま宴会に突入するしかないではないか?
「立てばビールで座れば宴会。歩く姿は千鳥足。」
これがJustチームの基本だ。
スタート前から飲み始め、肝心のレース艇が第2マークを通過する頃には完璧に出来上がっていた。
知り合いのヨットがマークを回航するたびに、我々は応援の踊りを舞い続けた。
きっと彼らは思ったことだろう。
「そうか、Justの連中はレースに出られない悔しさで、ヤケクソになっているんだな。」
実はそうなのである。決して我々は、
「単なるヨッパライ」
ではないのである。
レースが終われば今度は陸でパーティーが待っている。
我々はレースの後片付けもそこそこに、ひたすら飲み続けた。
オーナー「はっはっは、そろそろ帰りますか。」
これがオーナーの凄いところだ。
このままクルーに飲ませ続けては、そのうち皆が馬鹿をやりだすだろう。そうすれば、「過去最多優勝」の名声が地に落ちてしまう。
適当なところで切り上げさせなくてはならない。オーナーは我々の酒癖と酒の強さを完璧に把握しているのだ。
そしてつつがなくレースは終わりを告げた。
ところで今年の優勝艇はどこだったのだろう? 全然覚えてないぞ。
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