ジャスト伝説T〜時化の熊野レース〜
by三河湾のデニス・コナー

ジャストUはYAMAHA30スカンピで、チャインの張った腰の強い丈夫な頼れる舟でした。随分昔の事でよく覚えていませんが、その熊野レースは紀伊長島沖大島を廻ってくるレースでした。

乗員はオーナー、柴木、水越、クルーD(後に首になった)の4名。水越クルーはジャストU、Vで活躍したヘルムもとった人物で、日産マリーナのパーティの席では机の上で長靴をはいたまま歌舞伎「まてど おとどめなさるのはあ〜」をやった芸達者な、礼儀正しい、素晴らしいクルーでした。長女千恵ちゃんはオーナーが名付け親、今でもエリカの優勝の記事を見、祝電を送ってくるそうです。

オーナーは酒の肴にと西浦漁港で半なまのイワシを買い、スタートしてからアミがないので箸でつまみながら焼いてくれました。出来上がって一杯と言われる頃には空は真っ黒となり、クルーは誰も食べず、時化はますますひどくなって来ました。

キャビンはイワシのにおいが充満、クルー3人とも船酔い、クルーDは完全にオオトロマグロ 蹴飛ばしても起きない状態です。夜となり 柴木、水越はゲロを吐きながらもリーフ、ジブ交換を繰り返しました。キャビンの中はハルがミシミシときしむ音が。

暗闇の中、多くのレース艇とミーティングしましたが、これは港に避難のため方向を変えていたのでした。ジャストは新米にてよくわからず 走り続けるよりほかになかったという訳です。その中には今はうちのボースンの花川さんの乗るYOSHIKOもミーティングしたと後で知りました。

伊良湖水道の大きなうねりの中、ラッシュの本船に汽笛を鳴らされ よけてタックを繰り返しながらゴールしたときは 完走はジャストUだけで優勝でありました。貴重な経験でした。




On the WAVEのトップへ戻る
HOME