Phuket King's Cup 2000 (5)by チャーリー岸田
part-5 「パトンビーチの夕暮れ」
我々のチームは今回も男ばかりで参加した。多のチームがファミリーを連れて来ているのに比べて、やたらと男臭い。当然ホテルの部屋も男同士のツインルームだ。 カタビーチのホテルのフロントで、滞在中顔見知りになったフロントスタッフに声を掛けられた。 「あなた達は、あのような女性を雇わないの?」しかし、なんでインテリジェントな女性が、そんな商売しているんだ? それにこのフロントの女性も、妙に涼しげな顔でとんでもない話を持ちかけて来る。一体この国の感覚はどうなっているのだ? 我々は決してモラリストではない。いや、むしろその逆だ。しかし、そういうのは苦手だ。何故ならば、このメンバーは揃いも揃って恐妻家なのだ。 「折角のバカンスなんだから、恐い奥さんの居ない所で過ごしたい。」そう思って、一緒にプーケットに来たがる奥さん連中に、「プーケットは治安が悪い。」とか「ホテルのトイレが汚い。」とか、嘘八百を並べて男だけのツアーを実現したのだ。 やっと実現した心静かなツアーに、どうしてそんな面倒な事をしたがるだろう? どうしてそんな面倒なものを連れて歩かなければならないのだ?
その夜、我々はプーケット一の歓楽街、『プーケットの歌舞伎町』と言われる『パトンビーチ』に足を踏み入れた。
町はもの凄い人出だった。
我々は混み合うオープンバーの一角に、何とか席を確保した。すると、俺たちの周りに大勢のレディボーイが集まって来る。
何人かのレディボーイが隣に座り妙な裏声で酒をねだるが、レディボーイなんぞに用はない。俺はそいつらを全て無視した。皆、悪態をついて席を去って行った。 「何かおごって。」彼女は21歳だと言ったが、タイ人は一般に若く見える。日本の感覚で見ると女子高生のようだ。 「君は本物の女かい?」決して美人と言うわけではないが、感じの良い娘だった。しばらく会話を交わした語、やはり彼女は言った。 「ねえ、私の部屋に行かない?」そら来た。しかし安易に着いて行く訳には行かない。たしかに、この喧騒の中でレディボーイに囲まれて酒を飲んでいるよりも、このねーちゃんと二人だけになった方が楽しいかも知れない。しかしこの国の歓楽街はHIVウィルスの巣窟であると言われている。ここでノコノコ着いて行く男は『サムライ』として賞賛されるだろう。俺にそんな勇気はない。 しかし、はっきり誘いを断ったら彼女は別の客を探しに行ってしまうだろう。俺は曖昧な返事をして会話を引き伸ばした。 そのとき、彼女の反対側に座った仲間が、彼女に声を掛けた。振り向いた彼女の後姿に、俺は何故か妙な違和感を覚えた。 スレンダーな体型に長い手足。腰よりも肩幅の方が若干広い背中が、女にしては少々精悍な感じを与える。 恐る恐る足元を見てみると・・・・・・俺の足よりでかいっ! 27cmはあるぞっ! お前は本当に女なのかぁ! うわああああああああ!!! |