三河湾ヨットレース
(01/09/23)

by チャーリー岸田

 その日、三河湾はベタ凪だった。
 本部船にはAP旗。三河湾レースは延期されたまま、スタートの目処は立っていなかった。
 こんなときのデッキ上の話題は「保健体育関係」。
 チームに若手メンバーが入り、これから「爽やかJUST」に変貌を遂げようとする矢先に、中年淀みグループによる保健体育下ネタ攻撃は問題だ。
 しかし、ピチピチ若手の石川が、実はその方面の権威であることが判明。他の若手新人も実は同系統の人種と判り、チームの一体感はいやが上にも盛り上がる。

 話が煮詰まって、これ以上の展開は避けたいと誰もが思い始めている頃、漸く風が吹き出し、クラス旗掲揚。
 このとき、我がJUSTと同型艇ペルシェの姿が見えない。レース開始が遅れる事を見込んで、どこかに遊びに行ってしまったようだ。
 全艇スタート後、数分遅れて現れたペルシェがラインを切る。
 (もう、俺たちの敵はペルシェではない。レーティングが上のエルドラドとのスクラッチだ!)
 ここはスクラッチでのファースト・フィニッシュを目指さなければならない。
 風は微風の振れまくり。相変わらず十分な風は吹いて来ない。

 「タックだあ! ここでタックだあ!」
 今年学連から流れて来た、ディンギー乗りの石川が叫ぶ。
「ちょっと待て。この船はディンギーじゃないんだ。そんなに細かくタックしていたら、艇速が止まっちゃうぜ。」
「でも、ここでタックしないと・・・・・・」
 先行するエルドラドは振れタックを繰り返す。
 結果的に石川のコース選択が正解であった。今日の振れまくりの風では、振れタックが最重要項目であったのだ。
 我々はエルドラドに遥か先行され、挽回が難しい状況であった。
「でも。エルドラドはレーティングが上だ。これから差を詰めれば、まだまだ行けるぜ。」
 我々は極力エルドラドとは別のコースを選び、逆転を狙った。
 しかし、エルドラドのコース選定は着実だ。その差はジリジリと引き離されて行く。
 そして最終レグのスピンラン。
 なんと、遥かに遅れてスタートした同型艇のペルシェが、ジリジリと距離を詰め、すぐ真後に居るではないか!
 (まずい! 艇速ではあちらが上だ。やはりMUMM36に乗り慣れている彼らに一日の長がある。このままでは抜かされる!)
 ところが・・・・・・
 ここでペルシェがジャイブ。我々と同じコースを採っていたのでは抜くことができないと考え、賭けに出たようだ。
 しかし、パフのラインから見れば、このコース以外に考えられない。
 我々はペルシェを抑えに入らず、当初のコースを進んだ。
 結果は成功。ペルシェに僅かな差を付けてフィニッシュ。
 ペルシェは、どうしてあそこでジャイブしたのだろう? そのまま順調に行けばJUSTを抜かせたかも知れないのに。
 おそらく彼らは、我々を過大評価していたのだろう。
 同じコースを採っていては、先行する我々を抜かすことが困難であると考え、敢えてギャンブルのコースを選んだのであろう。
 昔からJUSTは、「エリカカップ」などの目立つレースでの成績が良い。
 そこで三河湾では、JUSTが実力以上に認識されている傾向がある。そこでハッタリの通用する余地が生まれているのだ。
 そのため、ラルのコースを選んでしまったペルシェを、若干引き離してフィニッシュできたと考えられる。
 最終結果は、ベストコースを見極めたエルドラドが優勝。
 レーティングの低さによって、J/24が二位。
 我々は三位となった。
 同型のベテランチーム「ペルシェ」に勝ったことは嬉しいが、これは相手方のコースミスによるもの。今後は通用しないだろう。
 我々には、更なる精進が必要である。

 以上

On the WAVEのトップへ戻る
HOME