エリカカップ2002

by ショーケン

 今年もエリカカップの季節がやって来た。JUSTチームは艇がなくてもエリカカップ前夜に蒲郡に集まって宴会をやるのが恒例になっている。昨年は4年ぶりの出場で、運良く優勝できたので、当然ながらチームのモチベーションは高い。タイから柴木氏、長崎から岸田氏、東京から小松氏、川下氏が蒲郡にやってきて、恒例の宴会となった。

 さてレースであるが、今年も定員いっぱいの12名が乗りこんだ。昨年は880kgの重量で臨んだが、今年は重量級クルー3名が乗れず、昨年より150kg以上軽いクルーウェイト。風は西、8〜10kt。今年のエリカカップはORCクラブ艇とオープン艇でスタートが分けられ、ORCクラブが10分先にスタートする。オープンクラスは90艇以上いるので、それに合わせてスタートラインが設定されており、ORCクラブの我々にとってはとても長いスタートラインだ。

 下有利のスタート、下側にレース艇が集中する。我々は本部艇からラインに沿って流して行き、3/4下あたりでスタート、即タックして右にのばす。他の艇はしばらく左に行くようだ。フレッシュな風をつかみ、艇速は悪くない、しばらくそのレグをのばす、我々が一番右海面にいる。

 ヘッダーが入りタックする、マークはほぼ正面に見える。そのままマークへ寄せ、Perfect Break、Chove Chuva、JUST、Paraphrenian、Perche、Flawless、Carrera、GUSTの順でマーク回航。しばらく各艇同じコースを走るが、後ろから風が入り、我々はジャイブ。良い位置にマークが見えた。

 下マークはChove Chuva、GUST、Carrera、JUSTで回航し、後ろにKaitoが迫っている。そのまま右にのばし、大島の近くでタックする。

「おおお?なんだ??」
Carreraが滑るように走る、我々も軽々とサーフィングする。
「これは潮だ!」
どうやらこの2艇は潮流に乗って対地速度が伸びているようである。勝利の女神は我々に味方してくれているのかもしれない。しかし、Chove ChuvaとGUSTも順調にこのレグを走り、マーク回航。
「おおっ!GUSTがイカだ!」
「ばんざーい」
「Carreraもトラブっているぞ!」
ヨットレースにおける他艇のミスはたまらなく嬉しい。こういう事を書くと人格を疑われそうだが、事実だから仕方ない。なんて喜んでいると、我々もマーク回航でスピンが開かず、ちょうちん寸前。半分下ろして開かせる。 ここまで来た時点で、前はChove Chuva、GUST、Carreraの3艇、我々のすぐ後ろにKaito、すこし離れてParaphrenian。他のMUMM36とは大きくリードしている。

 アーリーポートでマーク回航し、最終レグ。ポートタック片上りでフィニッシュラインに接近する。Chove Chuva、GUST、Carreraを追いかけるが、差はあまり変わらない。上の後ろにKaitoが迫っている。

「入れないな。アウターを狙ってタックだ」
タックをするとKaitoとミート。Kaitoは我々の下を通る。 「即タックしてKaitoを押さえる」のだろう・・と誰もが思っていたが・・タックのコールが出ない。
「?????」
「えええ??」
このままではアウターマークの左側を通り過ぎてしまう。
「まだだ、まだだ!タックレディ!」
と言いながら、小松ヘルムスマンは既に舵を切っている。 今まで整然としていたデッキ上が混乱に陥る。
「小松、落とせ!マークに当たるぞ!」
柴木氏が叫ぶ
小松ヘルムスマンはマークを右に見てフィニッシュだと勘違いしたようである。
「どひゃああああ!」
「なんだこりゃあああ」
その間にKaitoが先にフィニッシュ。我々の奇行ぶりを不思議そうに見ている。
思いがけないフィニッシュでの勘違いに、デッキ上は言いようのない脱力感が支配した。
実際、他の同型艇3艇を大きく離した、良い感じで走ったレースだったが、最後に想像も出来ないオチがついてしまった。
「JUSTらしいオチがついたな」
と柴木氏がしみじみと語った。全くその通りである。

ORCクラブAクラス 2位 総合5位。

エリカカップ航跡図
エリカカップ航跡図
以上

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