Phuket King's Cup 2002 (2)

by ショーケン

12月2日 第1レース

 今回のシリーズでは、我々はIRC3というクラスでの参加。このクラスはクルージングタイプの艇で最も小さい(40フィート以下)艇のクラスで、エントリー数も19艇と全てのくラスの中で最も多い。エントリーリストのコピーは以下の通りである。

IRC3クラスのエントリーリスト

 見ても分かるとおり、我々のチャーターした「AMANDA」はレーティングが下から5番目に低いのだが、この点は特に意識せず常に先頭集団に入るように目標を設定した。

 第1レースは、IRC3クラスはピピ島をぐるっと一周する22マイルのディスタンスコース。レーサークラス等は近くの海面でソーセージコースのレースを2本するので、スタートが分かれる。レースコースは下図の通りだが、IRC3はショートコース。見ての通り、ピピ島を回りつつ、3つのゲートを通らなければならない。

第1レースのコース図

 我々は11名のメンバーのうち8名がレース艇に乗り込み、スタートラインに向かった。この日オフの3名はダイビングに行くとのことである。そもそもピピ島はダイビングスポットとして有名な島なので島のあちこちにダイビングショップがあり、この手の手配は簡単だ。

 風は6〜8ノット程度と軽風だが、一応それなりに艇速が出せるコンディションである。レースは大型艇から順にクラス毎にスタートしていく。我々は上1スタートを狙ってポジションを取り、順調にスタートするかのように思えた。しかし・・

 何と風上の艇がスペースも無いのに、無理矢理突っ込んで来たのだ。こちらも避ける程のスペースが下に無く、上の艇と接触。なんて奴らだ、無茶苦茶である。(結局こちらは抗議は出さず、後日のパーティで一緒に飲んで騒いでチャラ、ということに。マイペンライっつーことですね)

 さて、スタート直後は他の艇の影響などで艇速が伸びない。ここは我慢して全員下ヒールでジリジリと艇を走らせる。こうやってピピ島を北上するが、こういう時、島は大きく感じるものである。なかなか第1ゲートに近づいていかない。前を見ると最初にスタートした大型艇のトップがスピンを上げて回航するのが見える。

 先行艇に続いて我々もマークまであと300mくらいの距離に来たが・・風が落ち、艇が止まってしまった。時間は10時過ぎ、スタートして1時間弱である。マークを回った艇はスピンで残った風を拾って順調に走っているように見える。あーあ、これで数時間は風待ちであるが、これがキングスカップである。

 無い風に対して無理矢理走らせようとスピンを上げたりジェノアに戻したり、色々やってみるのだが、艇速は出ない。というか、マークから離れて行き、隣の島が近づいているような感じがする。

「やばい!潮で流されているぞ!アンカーを打とう!」
慌ててアンカーを打ったが、タイミング的には少し遅かったようである。マークまで0.7マイルくらい離れてしまった。
「腹減った〜。ショーケン、食い物は積んでないのか?」
「積んでません。水飲んで下さい。」
「なんだよ〜」
 しかし、水の残りも心配になってきた。炎天下での風待ちは辛いものがあるが、これがキングスカップである。我慢するのだ。昼を過ぎれば、きっと風が来る・・はずだ。 誰かが祈り始めた。
「神さま!もうエッチなところには行きませんから風を下さい」
「そんな、出来もしないことを言ったってダメですよ!」
 そんな祈り?が通じたのか、少しづつ風が入ってきた。艇が止まってから3時間も経過して、時計は午後1時半を過ぎている。周りにいた艇の半数は諦めてリタイアしてしまったが、待った甲斐があったというものだ。アンカーを上げ、ジェノアを上げ、ソロソロ走らせて何とか第1ゲートを通過。先行艇は既に島の向こう側に達しており、視界から消えている。

 第1ゲートでスピンを上げ、スルスルと走らせる。風も安定してきて艇速も出てきた。風は少しづつ前にまわっているようで、スピンがギリギリはれる角度になってきた。そのまま艇は順調に走り、午後3時少し前に第2ゲートを通過。まだコースの半分だというのにこんな時間、フィニッシュ出来るのだろうか?

 艇をピピ島先端に向け、陸寄りのコースを取る。スピンからジェノアに交換し、全員下ヒールでセイリングする。風は安定しているが、6〜8ktというところだろうか。他の艇は沖出しして行ったが、特に沖の方が良い風だという感じもしない。

「何で他の艇は沖出ししているんだ?」
「まさか、あっちに次のゲートがあるんじゃないだろうな!」
「いや!このコース図だとこっちで合ってる筈だぞ」
確かに第3ゲートがなかなか見えてこない。陸寄りを走っている艇は我々だけに近いので不安になってくる。艇速は悪くなく、沖出し艇に追いつかれているという様子も無い。時間も夕方4時半を過ぎて、タイムリミットが気になってくる。トップ艇がフィニッシュしてから3時間後がタイムリミットである。
「あっ!あれが第3ゲートじゃないか?!」
「おお!そうだ!!丁度正面だ!」
「あれっ?マークを引き上げているじゃないか?」
ようやく第3ゲートを確認出来たが、マークを引き上げて運営艇が帰って行くのが見えた。時間は5時を過ぎており、タイムリミットのようである。アンカーを打ったりマストに登ったりと内容盛り沢山のレースだったが、あっけない幕切れとなった。

 ジェノアを降ろし、機帆走でトンサイ湾へ帰還する。アンカーを降ろし、陸に引き上げたら7時を過ぎており、日が暮れてすっかり暗くなってしまっていた。

「あ〜あ、初っ端からDNFかよー」
「惜しかったなあ、最初のマークでもう少し先に行けたらなあ」
「アンカーも、もっと早く打てば良かったな」
などとパーティでビールを飲みながら話をしている間に、第1レースの結果を見に行った。が、DNFの艇の中に我々の名前は無く、RETの中にも無い。一体どこにあるんだ?
「あれっ?俺たちが4位になっているぞ!」
「わあ、本当だ!第2マークで成績がついたらしい!」
早速、飲んでいる他のメンバーにも報告する。
「うーーっむ、4位というのは悪くは無いが、何とも複雑な気分だな」
「全部走ってませんからね」
というわけで、第1レースが終わった。長い長い1日だった。
パーティではタイ海軍チームの連中と陽気に踊る日本人の姿が多々見られた。ピピ島最後の夜を存分に楽しんだようである。

つづく

On the WAVEのトップへ戻る
HOME