Phuket King's Cup 2002 (3)by ショーケン
12月3日 第2レース 第2レースはピピ島からプーケット島までのレース。第1レースと同様、いくつかのゲートを通過してフィニッシュを目指す32マイルのディスタンスレースである。レースコースは下図の通り。
1998年のレースでも同じようなコースを走ったが、風が無くて大変だった思い出がある。昨日の第1レースの様子をみても、同じように風が無いレースが予想される。レースメンバーは8名、残りの3名は昨日と同様、ダイビングに行ってからフェリーでカタビーチへ移動することになる。 このレースではスタート位置は全てのクラスで同じである。まず始めにレーサークラスなどの長い距離を走るクラスが出てから、我々のクラスのスタートとなる。風向きはスピンスタートの風だ。これも1998年のレースと同じ。あの時は左側から出て失敗したので、今回は右端狙いで行こうと横田ヘルムスマンと打ち合わせた。 まずレーサークラスがスタート。ぎりぎりまでジェノアで位置取りをし、スタート直前に全艇が一斉にスピンをホイストする。なかなか見応えのあるスタートであった。続いて10分後に我々のクラスがスタートする。IRCやマルチハル部門などはジェノアを上げて位置取りをする、というシビアな事は無く、スピンをホイストした状態でマークに接近、スタート。 しばらくは各艇、順調に走る。風は8ktくらいだろうか、大型艇やマルチハル艇が頭を出すが、我々の艇も小型艇ながら良い位置でついて行く。1〜2時間はその状態でレースが続く。第1ゲートを過ぎ、第2ゲートを目指すが、まだまだ島影は遠くに見える。昨日のレースの様子から言って、長い1日になりそうである。 右海面の風が落ちてきたので左海面に行ったり、と位置の移動はあるが、艇速はそれなりにキープして第2ゲートを通過。時間は昼を過ぎて、風も少し落ちてきた感じであるが、まだ大丈夫そうである。 第3ゲートはマイトン島の近くに設置されている。このマイトン島というのは、ガイドブックを見ると島全体がリゾートホテルになっていて、このホテルの利用客しか島に上陸出来ないらしい。なかなかの高級リゾートのようだ。 「なるほど、初島のような感じだな」と誰かが言ったが、何かちょっと違うような気がする。まあ、似たようなものか。 お決まりのパターンで風が落ちてきた。第3ゲートも近くに来ているというのに、スピンがはらまなくなってしまった。時間は昼の2時を回っている。ここからが長そうな気がする。 この状態で1時間程経過したが、第3マークの位置が変わってきている。初めは正面に見えたのに、段々近づいて来て右舷に移動して来た。 「やばい!対地速度が2ktもあるぞ!アンカーを打とう!」すぐにアンカーを打ったが、水深が深い。ロープがドンドン出て行く。何とか艇を止めることが出来たが、後ろの方にいた後続艇がマークの方に流されて来ているのが見える。 「くっそー、あいつらラッキーだな。俺達は上らないとマークまで行けないぞ」しかし、少し風が出てきたのでアンカーを上げ、ジェノアで走る。何とかジリジリ走らせてマークを回ろうとするが、艇速が足りず、他の艇も入り乱れてマーク付近は混乱しており、かなり苦労してゲートを通過。時刻は3時半をまわっている。今日中にプーケット島に着くのだろうか? 何とか明るいうちにカタビーチに入りたいものだが、レースは続く。スピンで艇速3〜4kt程でノロノロと走り、止まっている間に抜かれた艇を追いかけるが、なかなか差は縮まらない。それに、フィニッシュもなかなか近づいて来ない。時間も遅くなってくるし、さすがに焦ってきた。 6時を過ぎて、フィニッシュラインが遠くに見えた。付近は暗くなり始めている。 「ここまでにしましょうか。このまま1時間走ってもフィニッシュ出来そうに無いですし、あまり遅くまで頑張るのも考えものですよ」全員一致でリタイアすることに決め、モーターオンしてセイルを下ろす。しかし、機走が遅い。結局、エンジンで走ってもフィニッシュ地点の本部艇まで1時間以上かかってしまった。もう、周りは真っ暗である。本部艇にリタイアする旨を伝え、カタビーチを目指す。 カタビーチまでが思っていたよりも遠かった。また、夜なので島の周りの様子もよくわからない。何とかカタビーチまで回航したが、アンカーを打って上陸したら、夜の10時を過ぎてしまっていた。 「俺はキングスカップって昼までに終わる楽なレースばかりだと思っていたけど、全然違うね、ヘビーだね」と大森氏に言われたが、そうなのである。昼までに終わるレースもあるが、ディスタンスレースは基本的に長丁場のレースになりがちだ(風が無いので仕方が無い) しかし、みんな元気なもので、ホテルでシャワーを浴びて食事が済んだら、それぞれ夜の街へ消えていった。明日はレイデイ、夜は長い。 つづく 第2レース航跡図(これじゃ何かわかりませんな) |