全日本ミドルボート選手権2003by チャーリー岸田
9月の3連休、我々は三河湾蒲郡沖の「全日本ミドルボート選手権」および「デニスコナー・カップ」に出場した。その日程は、
通常の蒲郡でのJUSTの習慣は、「昼はレース、夜はカラオケ大宴会」と言うものであったが、今回の強風続きの毎日では、
1日目。俺たちは長年培ったチームワークを活かし、3レースともファースト・ホームを決めた。強風のレースでは、一人の卓越したタクティシャンよりも、チームワークがものを言うのだ。近年三河湾では若手チームの台頭が目覚しいが、中年チームを舐めてはいけない。まだまだ俺たちも行けるぜ。 しかしこのとき、我々は自らの体力を過信していたのだ。もう若くはない。しかし妙な自信を付けた我々は歳を忘れていた。 この日の夜、街に繰り出したのは、横田、岸田、三浦の3人。岸田と三浦は2日目からの参加である。まだ疲れは溜っていない。1日目のレース参加者でネオン街に繰り出したのは横田一人であった。
今回のレースは、若手の萩原が出張のため参加できず、40歳の横田が替わりにバウを努めていたのだ。いつもはアフターガードで言いたい事を言っている横田が、今回は後ろからギャーギャー言われる立場のバウになっていた。 そして今日の彼は、本人にとって納得のできる仕事をしたらしい、しかし疲れは誰の目にも明らかだった。酒が回るに連れ、会話の内容が支離滅裂になっていた(いつものことだが)。
そのまま岸田と三浦は、ヘロヘロの横田を宿まで連行した。
そして2日め・・・
クルー一同は堀田オーナーを無理矢理JUSTに乗せ、合計9名でレースに臨んだ。 強風のデッキ上は、毎度のJUSTのカラーを色濃く反映し、テンテコ舞いの大騒ぎであった。
残りの8名は、それぞれ自分のポジションに手一杯でトラブルの対応まで手が回らない。
ヨットレースの基本は、
強いチームは速く走り、スマートなクルーワーク、そしてミスがない。下位を走るチームほどデッキ上で大混乱が展開されているものだ。 しかし、JUSTにはそれが当てはまらない。毎度のようにデッキ上は大混乱となり、とても人には見せられない状況が続くのだが、それでもそこそこの順位で走ってしまうところが我々の特徴だ。 結局この日、我々はまる一日、オーナーをコキ使い続けた。艇を降りるとき、堀田オーナーの足はフラついていた。
誰もこれ以上、オーナーを引き止めることはできなかった。 誰も横田の誘いに応じない。そもそも、そう言う横田自身がもうヘロヘロである。 彼はそのまま宿のロビーで気を失った。 3日目。この日は昨日にも増してデッキ上は混乱を極めていた。 「おーい! 何やってんだあ! 早くシート引けーっ!!!」タックの度にトリマーが暴れ回り、ジャイブの度にバウマンがすっ転ぶ。そして今回は、トラブルに対処するオーナーは乗っていないのだ。
もう少しスマートなクルーワークができれば成績の向上が見込めるのだが、このチームのカラーはなかなか変わりそうもない。我々はこのやり方で今後もずーっとやって行くしかないのだろう。
結果は、「全日本ミドルボート」と「デニスコナー・カップ」の計7レース中、全てのレースでファースト・ホーム(着順1位)。リコールにより再スタートしたレースまで、フィニッシュラインではトップに踊り出た。 完 |