JAPAN CUP 1997 (vol.3)
byショーケン
10/24
今日から、レース後半。萩原の今日のポジションはマストハンド。実はマストは初めてである。大丈夫だろうか。
朝のうちは南の風が吹いていたが、すぐに止まり、本部艇はAP旗を揚げた。無線を聞いていると、既に3レース消化してシリーズ成立が決まっているので、ゆっくり風待ちすると言う。メインを降ろして、休憩する。さすがに、オレンジカップのように釣りをする艇はいない。13時半ごろ、西から少しづつ風が入ってきた。無線では14時までに安定しなければ、N旗A旗(「本日のレースは全て取り消し」)を揚げると言っている。風は7ノットほどになり、AP旗が降下された。
第4レース
マークは下側有利に設定されているが、ダンは全レース通じて上1を狙っている。何かこだわりがあるのだろうか。スタートラインに近づく、本部艇のすぐ横、下にいるのは「スウィングA」、下艇とのスペースは十分に空いていて加速できそうなのだが、ダンが「MAKI」と本部艇の間に入ろうとする「シュビシュバ」を完全に追い出したいらしく、ベアしない。(どうもダンはこの艇が気になるようだ。カラーリングが好みなのだろうか)彼らの追い出しには成功したが、スピードの無いスタート、下艇との間のスペースに後ろから「サンタレッド」が加速して入ってきて、あっと言う間に左に走り去っていく。「MAKI」はすぐにタック、右に出すが、これは大失敗だった。
左に行った艇が伸びて、右はドツボ。上マークはほぼドベに近かった。同型の「サマーボーイ」は近くを走っているが、「ウィズダム」はかなり先行している。ジャイブなどのミスは無く、スピードはあるのだが、位置がかなり悪い。これで終わりだろうか?トップ艇団は下マークを回航して左海面にクローズで走っている、「MAKI」はマークを回って右海面に。ここで萩原を含む4人がダウンビロー、10分ほど走ってタックしてスターボタックになったのがわかったが、それ以外に周りのことはわからない。が、この時ドラマが起こった。
西から新しいリフトが入り始め、「MAKI」はこれに乗って大きくゲイン、一方左に延ばした艇はこの風の影響で一時的に風が乱れ、艇速が落ちた。外に出てみると、上マークが近い。ジャイブセットだ、時間がない、周りの艇を見ている暇はなかった。風は8ノット前後。
ジャイブ上げでマークを回る、決まった!ダンがどこで覚えたのか日本語で「よくできました!!」と叫んで、一同大笑い。このまま走りきり、下フィニッシュ。今日はこの1レースのみとなった。
「こいつら、やっぱりXヨットの守り神やで!あの風読んどった!」
とは西垣氏の言葉。
結果はクラス4位。1位は「テイク1」。「ファウンデーション」は5位で、「MAKI」と少し間が詰まった。トータルでBクラスは「ファウンデーション」「MAKI」「マリオエキスプレス」の順。「ファウンデーション」との間は3.5ポイントだが、なかなか難しそうだ。まだ3レースあるので、望みは残っている。
レース後、オーナーとクルー全員でお好み焼き屋に行った。マーティンは少しだがビールも飲むし、箸を使って日本食にトライしたりするが、ダンはアルコールを一切飲まない。ずーとコーラだった。おでんの具を英語で説明するのに、みんなかなり苦戦していた。
10/25
第5、6レース
今日は萩原は待機の日。小田オーナーの53フィートのモータークルーザー「麻規」にてレース観戦である。今日は昨日とガラっと変わって25ノットオーバーの西風。モーターボートが巡航速度で走るとフライングブリッジにいてもスプレーをかぶるほど波が立っている。
「麻規」はレースの観覧艇でもあったので、色々なお客さんが乗っていたが、その中に「テイク1」の武部オーナーやハリケーンの豊田氏、伊藤氏もいた。武部オーナーはブレザー姿であったが、スプレーを浴びてずぶ濡れになって気の毒でした。
最初のレースは「マリオ」がハリヤードトラブルでリタイア、それ以外、よく見えなかったけど、この日の2レースを通して、トラブルでリタイアする艇が続出した。スピンを破ったり、ブローチングして横倒しになったり、スピンポールを折ったり。「MIMI」「ボイジャー」「ウィズダム」「フェアーウインド」などが次々に姿を消して行った。
完走した艇もかなりトラブルに悩まされていたようだが、上位艇はさすがにきっちり走って得点差を広げたようである。「MAKI」は両レース共にクラス2位、「ファウンデーション」には1勝1敗でポイント差は変わらず、トータル3位だった「マリオ」が第5レースDNCで脱落、「テイク1」が3位に浮上した。
明日のレースに「ファウンデーション」に勝って、間に2艇入れば逆転できるのだが、難しい。3位の「テイク1」とはかなり点差があり、完走できれば負けることはないだろう。
この日の夜は「麻規」の中で、オーナーとクルー全員ですき焼き大会をやった。萩原はダンに「おまえはどんな仕事をやっているんだ」とか話しかけられて、とても困ったが、萩原のデタラメ英語でもちゃんと聞いてくれた。実は神経質な人らしいのだが、とてもそんな人に見えなかった。
いよいよ、明日がレース最終日である。
つづく |