ビエンチャンは小さくて静かな町だった。日本で言えば長野県飯田市のような感じだ。市街地部分は端から端まで歩いて行ける程度の距離。高いビルは無く、人も車も少ない。
写真はビエンチャンのメインストリート。町の中心部である。つまりこの国で一番にぎやかな場所だ。
旅馴れた人の話では、とりあえず独立国として成り立っている国であれば、たとえそれが無名のアフリカの新興国であろうと、首都にはそれなりの首都らしい体裁があるのだそうだ。国の大部分が砂漠やジャングルであろうとも、首都には高層ビルが建っていたり、道路には信号機があったり・・・・・・ところがラオスの首都はその法則を一切無視している。町の中心部はどこだろうと思って散々歩きまわっても、ずーっとこの景色なのだ。地元の人の話では、数年前まではこのあたりにも水牛が歩き回っていたそうで、これでもずいぶん都会化したらしい。
そしてこの町にはエアコンの効いている場所が少ない。今回筆者の泊まったホテルの部屋はエアコン付きだが、飲食店や商店でエアコンのある場所はほとんど無い。一般に東南アジア各国ではエアコンの強過ぎる場所が多いのだが、エアコンの苦手な人にはビエンチャンは過ごし易い場所かも知れない。
この旅行の前に、筆者がラオスに行くことを話した相手は一様に不思議がった。一般的な観光資源がほとんど無いのだ。
強いて言えば、「何も無いところが特徴」。
しかしそんな所でも、筆者にとっては大きな魅力がある。それは「未だ行ったことの無い土地」。それだけの理由で十分だ。
到着間もなく、夕方に強烈なスコール。この大雨では予定していた屋台での晩飯は無理かな。と、思っていると、あっと言う間にスコールは通り過ぎ、昼間よりも涼しく快適な気温になった。早速メコン川沿いの屋台に繰り出す。
「屋台」とは言っても、正確には「掘っ立て小屋」と呼ぶ方が判り易い。日本の京都の鴨川の花火見物の仮設席のように、メコン川の河原に張り出して沢山の小屋が建っている。川からの風が通って快適な涼しさだ。川の向こう岸はタイランド。国境の川なのだ。
この小屋でリラックスしながらラオスビールを飲み、料理を注文する。
タイ人は一回の食事に2時間も3時間も掛けるのだが、ラオスの人々も同じようである。なかなか日本人には真似できないのだが、ここに居ると自然にそのペースに身体が馴染んで居る。メコン川の風に吹かれてのんびりしていると、知らないうちに何時間も経っていた。
つづく