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ビエンチャン紀行
by チャーリー岸田
 
最終回「水の中のアジア」

 中国製「新舟60」型機は長い滑走の後ようやく浮かび上がった。ビエンチャンの町が遠退いて行く。

 窓から見下ろすラオスの大地は、ひたすら水田と貯水池が続いていた。「水の中のアジア」。そんな言葉が頭に浮かんだ。

 豊富な降雨量と大河メコン川の水。これがインドシナ半島の豊かさを支えているのだ。世界で唯一飢餓を知らない土地。それが東南アジアである。

ラオスの水田

 ビエンチャンは首都としてはあまりにも小さい町で、観光資源にも乏しかったが、鈴虫の声を聞きながらメコン川の河原の屋台で飲むビールは最高だった。経済発展に浮かれる他の東南アジア諸国の都会が失いつつある古き良きアジアがここには残っている。


 しかし旅はまだ終わりではない。日本に帰る前にタイのバンコクを経由しなければならないのだ。

 ネオンの光と音の洪水の中で大馬鹿騒ぎを続ける街、バンコク。心休まるビエンチャンの夜に比べ、なんとうるさく味気の無い街だろう。

 しかし、水と森の国から戻った旅行者は、魔の都バンコクに到着した途端、赤いネオンとハードロックの洪水の中に飲み込まれて行くのであった。

バンコクの夜

 バンコクの夜は省略して、このシリーズ完結。



おわり


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